感覚

人の感覚とは恐ろしいことに随分変わってしまうものだと自分ながらにも感じてしまう。若くて金のない時分にはこういう服が買いたいとかこんな物を食べてみたいとかこんな車に乗れたらいいなあとか贅沢をしたいという願望が強かったが、ある程度働き金に余裕が出てくるとそれら全ては日常に埋没し当たり前になってきてしまう。決して贅沢な事をしているという感覚自体がなくなってしまう事である。こうなると質を落とした生活が出来なくなり浪費を極める事に繋がってしまうものだ。それなので近頃は昔の物のなかった時代を懐古し生活を戒めるよう心がけている。目黒の秋刀魚ではないが人の感覚は恐ろしいものである。