戦争と日本人

私が未だ幼かった頃(昭和39年~41年)地域の七夕祭り等に両親と出かけると、ずらりと並んだ夜店の間に軍服を着て手が無かったり足が無かったりする大人がアコーディオンやトランペット・ギター等を奏で募金を募っている人達がいたことを記憶の片隅に留めている。母が戦争乞食だと言い幼い私は少し怖い感じがした、しかし父親は戦中派の人間で本人も海軍に所属し玉砕したサイパン島を僅か4日前に本部指令で旅立ち東京に帰還した人らしく必ず募金箱に当時のお金で1万円を入れていた事を私は覚えている。私達戦後の人間には分からないし理解できない事なのかもしれないが、共に戦争を戦い生き抜いた人達、戦死してしまった人たちを含め戦中派の人達の間には共に感じる連帯感や相通じる感情が存在している事は確かな事だと今になってから感じている。当時の日本人は純粋で今は無き武士道精神が確実に個人個人の心に根差していたとつくづく感じる、今の日本人は同胞に対してこんな感情など持ち合わせてはいないであろう、正社員だの派遣だのといって給料で自分が上だ下だで下らない社会的地位に関心を払っている様ではこの国の未来を実り豊かに出来る国民体制には程遠い今日にガッカリすると同時に、失ってしまった日本人らしさを今一度皆改めて見つめなおしてみるべきではないかと考える。温故知新である。